BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
BCP【事業継続計画】の必要性
平成23年の東日本大震災をはじめとする大規模災害等において、直接被害はもとより、サプライチェーンにも大きな影響が出る等の経験から、「防災」及び「災害時における事業継続」の重要性を再認識し、中小企業へのBCPの普及促進に向け、中小企業庁は「中小企業BCP策定運用指針」の改訂を実施しました。中小企業におけるBCP策定率は15%程度にとどまっていることから、防災意識及びBCPへの理解を深めていく必要があると考えられています。
社会情勢を踏まえ、中小企業庁は、中小企業の自然災害等に対する事前対策(防災・減災対策)を促進するため、第198回通常国会に「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(以下、中小企業強靱化法という)」を提出し、国会審議を経て、中小企業強靱化法は2019年(令和元年)5月29日に成立し、同年7月16日より施行しています。
中小企業強靱化法において、防災・減災に取り組む中小企業がその取組内容(事前対策)を計画としてとりまとめ、当該計画を国が認定する制度を創設しました。
また、2020(令和2年)10月1日から感染症対策に関する事業継続力強化計画の認定もスタートしています。
「事業継続力強化計画」認定制度とは
中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定する制度です。認定を受けた中小企業は、税制優遇や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。
計画に記載する項目の事例は以下の通りです。
- ハザードマップ等を活用した自然災害リスクの確認方法
- 安否確認や避難の実施方法など、発災時の初動対応の手順
- 人員確保、建物・設備の保護、資金繰り対策、情報保護に向けた具体的な事前対策
- 訓練の実施や計画の見直しなど、事業継続力強化の実行性を確保するための取組 等
中小企業庁HP 経営安定対策室より
事業継続力強化計画認定制度の概要
中小企業が行う防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定し、 認定を受けた中小企業は、税制措置や補助金の加点などの支援策を活用可能になります。。
認定対象事業者 防災・減災に取り組む中小企業・小規模事業者の方。
- 事業継続力強化に取り組む目的の明確化。
- ハザードマップ等を活用した、自社拠点の自然災害リスク認識と被害想定策定。
- 発災時の初動対応手順(安否確認、被害の確認・発信手順等)策定。
- ヒト、モノ、カネ、情報を災害から守るための具体的な対策。
※自社にとって必要で、取り組みを始めることができる項目について記載。 - 計画の推進体制(経営層のコミットメント)。
- 訓練実施、計画の見直し等、取組の実効性を確保する取組。
- (連携をして取り組む場合)連携の体制と取組、取組に向けた関係社の合意。
認定を受けた企業に対する支援策
1. 防災・減災設備に対する税制措置
【税制の概要】
●対象者:経済産業大臣による防災・減災対策に関する事業継続力強化計画の認定を受けた者
●支援措置:特別償却20%
●対象設備:
-機械装置(100万円以上):自家発電機、排水ポンプ 等
-器具備品(30万円以上) :制震・免震ラック、衛星電話 等
-建物附属設備(60万円以上):止水板、防火シャッター、排煙設備 等
2. 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
信用保証協会枠の拡大、日本政策金融公庫による低利融資等の利用可能性があります
3. 補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
事業継続力強化計画はものづくり補助金の加点項目になっています。
4.中小企業庁HPで認定を受けた企業の公表、認定企業にご活用できるロゴマーク
中小企業強靱化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受けた場合、下記の認定ロゴマークを使用することが可能です。
BCP【事業継続計画】策定と防災計画
防災計画からBCP(事業継続マネジメント )まで、指導を行う業者は多くあります。
BCP策定の利点は、「事業継続力強化計画認定制度」だけの目的ではなく、被災後も企業災害リスクの軽減効果によって通常業務を1日でも早く稼働させることが本来の目的です。
防災対策は策定をおこなって終了されるものではなく、人的資源(ヒト)と物的資源(モノ・カネ・情報)が維持され体制が整っていることを維持し更新し続けるものでなければなりません。
事務的な策定だけではなく、人と会社を守るための防災のプロの指導を受けることをおすすめします。
企業の事業継続計画(BCP)策定及び 事業継続マネジメント(BCM)の促進
1. Promotion of Business Continuity Plans(BCP) and Business Continuity Management (BCM)
地震等災害が発生し企業活動が滞ると、その影響は各企業にとどまらず、その地域の雇用・経済に打撃を与え、さらには、取引関係を通じて他の地域にも影響を与えることが懸念されます。このため、災害時における企業の事業活動の継続を図るための行動計画となる事業継続計画(BCP)の策定と平常時の経営戦略を定める事業継続マネジメント(BCM)を促進することは、我が国社会や経済の安定性の確保と海外から見た我が国企業の信頼性向上のために極めて重要です。
政府は、BCPやBCMの概要、必要性、有効性、実施方法、策定方法及び留意事項等を示した「事業継続ガイドライン」(2013年8月)を作成、公表(英語版あり)し、企業による
BCP策定及びBCMの促進を図っています。内閣府HP 内閣府政策統括官より
BCP【事業継続計画】の流れ
Mission 1 【防災計画】
災害や予期せぬトラブルが発生した際には冷静な判断が難しく、迅速な避難や対処を実行できず二次災害を招く恐れがあります。そのような事態を回避するためにも、災害時の対応計画が必要なのです。
はじめは防災計画の「基本方針の策定」を行います。何を実現するためにBCPを策定し、ステークホルダーや自社の対象とする事業の範囲、BCP推進役となる部署・人事、目的、適用範囲、推進組織(プロジェクト編成)を明確化します。2年目は、1年間の流れの中で不備などを洗い出し、改善する目的で再構築していきます。
Mission 2 【図上訓練の企画・実践】
適用範囲の拠点の地震リスク評価や、施設や人、インフラなどの被害想定を行い「状況シナリオ創出型図上訓練」を行います。自分の知識・能力及び災害時業務への習熟度の客観的把握ができ、自分の災害時役割行動の流れの把握と整理ができるため、意識の向上が図れます。製造業の場合は、建物、ユーティリティ、生産設備等の耐震診断を詳細に実施し、脆弱性を洗い出し実践的な訓練を行います。
Mission 3 【災害情報共有の構築】
事業影響度分析(ビジネスインパクト分析)を行い災害時に必要な情報の共有を行います。事業停止の影響を多角的視点から分析し、緊急時に継続させなければならない業務を特定し、早期に復旧すべき重要業務の絞込みを行います。重要業務に欠かせない経営資源(人、物、施設、情報、インフラなど)の洗い出しなどを行いリスト化します。
Mission 4 【防災マニュアル制作】
事業継続戦略の決定をして、経営者・防災担当者・社員と3種類の自社だけの「防災マニュアル」を制作します。重要業務を継続または早期復旧するための戦略を決定し、想定外の事象に対して複数のオプションを用意して柔軟な対応ができるようにします。投資を含む経営判断が必要となる戦略決定は経営者の関与が重要となります。
Mission 5 【BCP(事業継続計画)の策定】
事業の業務の中断・阻害に対応し、事業を復旧再開し、あらかじめ定められたレベルに回復するように組織を導き文書化します。マニュアル制作での戦略を実現するための具体策を、事前実施すべき対策と災害発生後の行動計画・復旧計画を明確にし、BCP策定していきます。策定で事業影響度分析で被害を軽減する対策や復旧する対策、代替させる対策など経営資源ごとに費用対効果を踏まえた具体策を立案し「BCP策定書」を提出します。
Mission 6 【BCM(事業継続マネジメント)】
組織を脅かす潜在的なインパクトを認識し、利害関係者の利益や価値創造活動などを守るため、組織のレジリエンスを構築するための有効な対応を行い、包括的なマネジメントを行います。
BCP【事業継続計画】の考え方
BCP策定のポイント
策定書類の制作会社ではなく、防災のプロが現場に伺い、経営者様と防災担当者様に寄り添ってご相談を承ります。
- 現地調査を実施して現況に基づいたリスク評価を行い、防災のプロ目線で妥当性の高い被害想定を提供します。
- 事業継続のボトルネックを可視化し、実効性のあるBCP策定を行います。
- 策定に限らず、人の命に関係する備蓄品や備蓄食のアドバイスも防災マニュアル制作に加えていきます。
- 幅広い防災知識と豊富な経験を生かし、安全な環境づくりも行い、BCP策定をします。
- 依頼に応じて、社員の「防災セミナー」などで社員教育を行います。
- 防災担当者のお悩みである代行を行い「防災担当」として継続的に情報を提供し、防災訓練等指導も行います。
BCP(事業継続計画)策定からマニュアル制作、避難訓練の指導や手配まで、お客様のご要望にお応えいたします。
是非、お問い合わせください。